リア王(原作)あらすじを簡単に!コーディリアの性格と塩の関係

シェイクスピアの不朽の名作『リア王』。

ブリテンの老王リアとその3人の娘(長女ゴネリル、次女リーガン、末娘コーディリア)との愛と裏切り、狂気と悲嘆が交錯する悲劇。

今回はこのリア王の物語(原作)のあらすじを短く簡単に見てみましょう。

またリア王の末娘「コーディリア」の性格「塩」との関係もまとめてます。

リア王:あらすじを簡単に

ではリア王のあらすじを簡単に
(でも話の流れが分かるようにちょっと詳しく)見てみましょう。

王の試練:愛の宣言と裏切りの始まり

物語の主人公は、ブリテンの老王リア。

リア王は「わしも歳をとった。子供たちに国をゆだねよう」ということで、国を3人の娘たちに分け与えることを決めます。

そしてリア王は「私をどれだけ愛しているか」と娘たちに尋ねるんですが、長女ゴネリルと次女リーガンは、少しでも広い領土が欲しいと父親を喜ばせるために甘い言葉を並べます。

でも末娘コーディリアは正直に「私はあなたを娘として愛しています。将来の夫も愛します」なんて答えちゃうんですね(場の雰囲気が読めない子(笑))。

これにはリア王は激オコ。
コーディリアは勘当されてしまいます。

陰謀と裏切り:エドマンドの策略

このリア王の物語には、
リア王と3人の娘以外にも重要な話の流れが含まれます。

それはリア王の忠臣「グロスター伯」の家族の物語。

グロスター伯には二人の息子、

  • 兄のエドガー(正嫡:本妻の子)
  • 弟エドマンド(庶子:本妻以外の子)

がいますが、
弟のエドマンドは野心家で、
自分の地位を高めるために父を騙して兄のエドガーを家から追放します。

この弟エドマンドの策略はリア王の物語と並行して進み、後に二つの話が交差します。

狂気の嵐:王の孤独と娘たちの裏切り

娘たちに国を譲ったリア王はその後安泰か、というとそんなことは全然なく、なんと長女と次女に裏切られてしまい、家もなく孤独の身となり狂気に陥ります。

(末娘コーディリアを追い出した報いを受ける、みたいなものですね)

コーディリアを勘当した際、
リア王に考えを改めるように進言した家臣にケント伯がいますが、それにも激オコ。ケント伯も追放してしまったリア王。

でもリア王が孤独の身になった後もケント伯は(追放された身なので)変装し、王のそばに留まってリア王を支え続けるんですね。(良いやつだよ、ケント伯)

悲劇へと続く:失われた愛と王の最期

勘当された末娘のコーディリアはその後フランス王に嫁ぎフランス王妃となりますが「孤独になった父リア王を救くわねば!」と駆けつけます。(良い子だよ、あんたは...)

ここから巻き返しになるのか!
と思いきや、
二人は捕らえられてしまい、末娘のコーディリアは処刑されてしまいます。

なんてことだ...

リア王は冷たくなった娘コーディリアを抱き悲しみに暮れ、その悲しみの中で自らも命を落としてしまうことに。

正に悲劇ですが、悲劇はこれで終わりません。

悲劇の終わり:そして残った者は

先ほど出てきたエドマンド(兄エドガーを家から追い出した人ね)も最終的には策略がバレてしまい倒され、リア王を裏切った長女ゴネリルは(夫との関係悪化やエドマンドと不倫関係もあったりして)自ら命を絶ち、次女リーガンは(こちらもエドマンドと不倫関係にあったりして、多分長女ゴネリルによって)毒で死んでしまいます。

なにか登場人物がバタバタ倒れ、

そして誰もいなくなった、

という感じですが、
リア王を支え続けた忠臣ケント伯、
そして忠臣グロスター伯に追放された息子エドガーは生き残ります。

ケント伯はリア王の死に際し「私の役目はここに終わりだ」と語り(その後どうなったかは不明)、エドガーは新たな統治者としての重責を担うことになりました。(おしまい)

参照元: 英語版Wikipedia, 日本語版Wikipedia

リア王:登場人物まとめ

物語の概要が分かりやすくなるよう、
上で見たあらすじに出て来る登場人物を一覧でまとめてみます。

  1. リア王:ブリテンの老王。物語の主人公
    3人の娘の父親で、国を娘たちに分け与えその後裏切らる。最後は孤独と狂気に陥る。
  2. ゴネリル:リア王の長女
    父リア王を裏切り野心的な行動を取る。エドマンドと不倫関係にあり、最終的には自ら命を絶つ。
  3. リーガン:リア王の次女
    姉ゴネリルと共に父を裏切る。姉同様エドマンドと関係を持ち、最後は毒によって命が絶たれることに。
  4. コーディリア:リア王の末娘
    父リア王に勘当される。後にフランス王に嫁ぎ、父を救おうとするが処刑される。
  5. グロスター伯:リア王の忠臣の一人
    エドガーとエドマンドの父親で、エドマンドの策略によりエドガーを追放してしまう。
  6. エドマンド:グロスター伯の息子
    エドガーの弟。兄エドガーを策略により追放。リア王の長女ゴネリル、次女リーガンと関係を持ち最終的に倒される。
  7. エドガー:グロスター伯の息子
    エドマンドの兄。弟エドマンドによって追放されるが後に復帰。新たな統治者としての重責を担う。
  8. ケント伯:リア王の忠臣の一人
    リア王に追放されるが、その後も変装して王を支え続ける。リア王の死後「私の役目はここに終わりだ」と語る。

個人的には、リア王の末娘であるコーディリアに惹かれます。(*´▽`*)

このコーディリア、物語の最初に父親であるリア王の「私をどれだけ愛しているか」に対していった言葉が印象的ですね。

コーディリアの性格と塩のセリフ

コーディリアのことを調べていると「塩」というワードが出てきます。

どうやらコーディリアが父親(リア王)の「自分のことをどれほど愛しているか」という問いに対するセリフと関係しているようですが、実は原作のセリフには「塩」は出てきません。

コーディリアのセリフと性格

リア王は「自分が歳を取ったので領土を3分割して3人の娘に託したい」という話をし、娘たちに「自分(父親リア王)をどれほど愛しているか」を聞きます。

3人の娘に領土を渡すと言っても、やはり自分を慕ってくれる娘に渡したい、それを言葉で聞きたい、という父親心が表れてると思いますが(彼氏彼女、夫婦間でもやっぱり言葉で表現してほしい、ってときありますよね)、原作では、3人の娘それぞれは、この問いに以下のように答えてます。

※)この中に「塩(salt)」は出てきません。

<長女:ゴネリル>

お父さま、私は言葉で表現できる以上にあなたを愛しています。(中略)あらゆるものを超えて、あなたを愛しています

原文:Sir, I love you more than words can wield the matter; (中略) Beyond all manner of so much I love you.

<次女:リーガン>

お父さま、私もお姉さまと同じ気持ちです。(中略)あなたの愛の中でのみ、私は幸せだと感じています。

原文:Sir, I am made of that self mettle as my sister,(中略)And find I am alone felicitate In your dear highness’ love.

<末娘:コーディリア>

(はじめは割愛) なぜ姉たちは夫がいるのに、あなただけを愛すると言うのでしょうか。 私が結婚したら私の愛の半分は夫が持っていくでしょう。(後半は割愛)

原文:(はじめは割愛)Why have my sisters husbands, if they say they love you all? Haply, when I shall wed, that lord whose hand must take my plight shall carry half my love with him, half my care and duty: (後半は割愛)

3人の娘それぞれのセリフですが、
コーディリアの答えが凄い。

長女のゴネリル、次女のリーガンが父親に対して「全ての愛をあたなに」と告げる中、「夫がいるのに、あなただけを愛すると言うの?」なんて言っちゃう?!という感じです(笑)。

実はコーディリア、
上の言葉を話す前、最初は「言うことは何もない」なんて言い出すんですね。(ツンデレ?!笑)

これにはリア王もまさかのびっくり。

「マジですか。何もないだって?
おまえの取り分(領土)なくなるぞ!」

とか問い直して、やっとコーディリアが答えたと思ったら「自分の愛の半分は結婚したら夫にある」なんて言っちゃいます。

これにはリア王、「この薄情者め!」とカンカンに怒り、結果コーディリアは父の元を去ることになります。

このシーンから見られるコーディリアの性格は、非常に率直で真面目。

場の雰囲気に流されることなく現実的なものの見方、考え方をする人であり、姉たちのように美辞麗句を並べるのではなく、自分はこう思う、ということをそのまま口に出しちゃうタイプ、とも言えそうです。

父親からすると、塩対応で涙目、みたいな感じにもなりますが(笑)「ふたりの姉には夫があるのにそんなことを言うのか。そうじゃないでしょ」という、家族の中での愛の考え方、愛情を分け合う、愛のバランスみたいなことも主張しているようです。

この場面だけに限らずですが、リア王の物語の中でコーディリアは様々な試練に直面するわけですが、そうしたものに対する彼女の行動や考え方を象徴しているようなシーンですね。

「塩」は昔話や別バージョンで登場する

「塩」が含まれるコーディリアのセリフは、原作ではなく、リア王のベースとなる昔話(伝承)やリア王の簡易版(例えば子供向け)、別言語に翻訳したバージョンなどで出て来るようですね。

調べてみると、伝承含めて、
娘たちのセリフには以下のような色々なバージョンがあるようです。

  • 長女:私のすべてを愛すると同じぐらい、あなたを愛してます
    I love you as I love my life.
  • 次女:あなたを何よりも愛してます
    I love you better nor all the world
  • 末娘:お肉がを愛すると同じぐらいあなたを愛してます
    I love you as fresh meat loves salt

参照:Cap o’ Rushes(イギリス)- Love Like Salt

  • 長女:お砂糖と同じぐらい、あなたを愛してます
    I love you as sugar.
  • 次女:ハチミツと同じぐらい、あなたを愛してます
    I love you as honey.
  • 三女:シャーベットと同じぐらい、あなたを愛してます
    I love you as sherbet.
  • 末娘:と同じぐらい、あなたを愛してます
    I love you as salt.

参照:The King and His Daughters(パキスタン)- Love Like Salt

  • 長女:月や太陽と同じぐらい、あなたを愛してます
    I love you as much as the moon and the sun.
  • 次女:空や星と同じぐらい、あなたを愛してます
    I love you as much as the sky and the stars.
  • コーディリア:ひと掴みのと同じぐらい、あなたを愛してます
    I love you as one loves a pinch of salt.

参照:The story of King Lear and the pinch of salt

王様が娘に対して「自分をどれだけ愛しているのか答えよ」みたいはお話しは、伝承やそれに影響されたリア王の物語のバージョンなど他にもあると思いますが、いろいろな表現があって面白いですね。

ちなみに「あなたを塩と同じぐらい愛してる」(I love you as salt. / I love you like salt. / I love you more than solt.)という表現は、昔からあるようで、これは昔々「塩」がとても貴重だったことが由来のようです。

(日本でも昔は塩はお金と同じ価値をもってた時代もあり、それと同じですね)

コメント

タイトルとURLをコピーしました