『ロミオとジュリエット』はご存じシェイクスピアによる愛と運命、家族間の確執を描いた不朽の名作。
イタリアのヴェローナを舞台に、敵対するモンタギュー家とキャピュレット家の間で繰り広げられる、若きロミオとジュリエットの悲劇的な物語。
今回はこのロミオとジュリエットについて、その概要、主な登場人物、物語のあらすじを簡単に分かりやすく、でも少し詳しく紹介します。
ロミオとジュリエット:概要
『ロミオとジュリエット』は、
敵対する二つの家族「モンタギュー家」と「キャピュレット家」を背景にしたシェイクスピアの悲劇。
イタリア北部の都市ヴェローナを舞台に、
ロミオとジュリエットは一目で恋に落ち秘密裏に結婚しますが、家族間の確執と悲しい誤解により、二人の愛は悲劇的な終わりを迎えます。
二人の死は両家に和解をもたらしますが、
その和解はあまりにも遅すぎたのでした。
ロミオとジュリエット:主な登場人物
- ロミオ(モンタギュー家)
- 年齢: 16歳前後(推定)
- 物語の主人公。ジュリエットと恋に落ち、秘密裏に結婚。ティボルト(ジュリエットの従兄弟)ティボルトを殺害し追放される。
- ジュリエット(キャピュレット家)
- 年齢: 13歳
- 物語のヒロイン。ロミオと恋に落ち秘密裏に結婚。パリス伯爵との結婚を強要され、死を偽装して逃れる計画を立てる。
- ティボルト(キャピュレット家)
- 年齢: 若い成人(推定)
- ジュリエットの従兄弟で、敵対するモンタギュー家のロミオがキャピュレット家のパーティーに潜入したことに激怒し決闘を挑む。ロミオの友人を殺害しその後ロミオによって殺される。
- マキューシオ(モンタギュー家)
- 年齢: 若い成人(推定)
- ロミオがティボルトの決闘を拒否したことに憤り、代わりにティボルトに立ち向かうが致命傷を負う。
- ベンヴォーリオ(モンタギュー家)
- 年齢: 若い成人(推定)
- ロミオの従兄弟で彼の親友の一人。ロミオをキャピュレット家のパーティーに誘い、ジュリエットとの出会いを手助けする。
- パリス伯爵
- 年齢: 若い成人(推定)
- キャピュレット家と親しい貴族。ジュリエットとの結婚を望むが、父親に結婚を強いられたことからジュリエットは死の偽装計画へと進む。
- フライア・ローレンス
- 年齢: 中年以上(推定)
- ロミオの信頼できるフランシスコ会の修道士。ロミオとジュリエットの結婚を手助けし、後にジュリエットの死を偽装する計画を立てる。
ロミオとジュリエット:あらすじ
ロミオとジュリエットの出会いと結婚
物語は、互いに敵対する二つの名家、
「モンタギュー家」(ロミオ)
「キャピュレット家」(ジュリエット)
の間の確執から始まりますが、そうした中、ロミオは当時恋心を抱いていたロザラインという女性が敵対するキャピュレット家のパーティーに出席すると知ります。
ロミオはロザライン会いたさに密かにそのパーティーに潜入。でもそこにはジュリエットと運命の出会いが待ってました。
ロミオはジュリエットの圧倒的な美しさと純粋な魅力に一目惚れ。ジュリエットもまたロミオの誠実で情熱的な性格に強く惹かれ二人は一気に恋に落ちます。
この出会いは、有名なバルコニーのシーンでの二人の愛の誓いへとつながり、二人は家族の確執を超えて秘密裏に結婚。(なんと出会った次の日に結婚したのだ)
ロミオが追放される
ジュリエットの従兄弟ティボルトは、
敵対するモンタギュー家のロミオが侵入したことに大激怒。
家族の名誉を守るためにロミオに決闘を挑んだところ、なんとロミオが拒否。(ジュリエットとの秘密の結婚によりティボルトを親族と見なしていたことから)
でもロミオの友人マキューシオ(ロミオと同じくモンタギュー家)からすると、敵対するティボルトの挑戦を受け入れないのは家族の名誉への侮辱と映り、代わりにティボルトとの決闘へ。
でも、この決闘が悲劇を招くことになります。
マキューシオはその決闘で致命傷を負い、その死によって今度はロミオが大激怒。
ティボルトを殺害してしまい、これが原因となってロミオはヴェローナの町から追放されてしまいます。(ジュリエットと引き離される結果になってしまうのです)
偽装計画から悲劇へと
一方、ジュリエットはジュリエットで、
父親からパリス伯爵との結婚を強いられ絶望の淵へと追いやられます。
ジュリエットは、修道士フライア・ローレンスの助けを借りて死を装う計画を立て薬を飲み、キャピュレット家の墓に安置されます。
でもこれが偽装計画であることがロミオに届かず、ロミオはジュリエットが死んだと誤解。
ロミオはジュリエットのもとへ行き、毒を飲んで自らの命を絶ってしまうんですね。
その直後ジュリエットが目覚めることになりますが、そんなロミオを見て絶望し、ジュリエットも短剣で自らの命を絶ってしまいます。
ロミオとジュリエットのこの悲劇的な出来事は、両家に深い衝撃と悲しみをもたらし、長年にわたる確執の無意味さを悟らせ、遂に和解へと至りますが時すでにお寿司。
この物語は、両家の争いを何とかしようとしてた町の統治者プリンスの「この物語ほど悲しいものはない」という言葉で締めくくられます。
参照)Romeo and Juliet – Wikipedia
たった5日間の出来事
このロミオとジュリエット、
実はたった5日間の出来事だったようですね。
- 初日:
ロミオとジュリエットがパーティで出会い恋に落ちる - 二日目:
二人は修道僧ロレンスの元で秘かに結婚。 - 三日目:
ロミオの親友マキューシオが殺され、ジュリエットの従兄弟ティボルトを殺してしまう。結果、ロミオはヴェローナから永久追放される。ジュリエットが両親からパリス伯爵との結婚を迫られたのも同じ日。 - 四日目:
ジュリエットが死の偽装計画を実行。ロミオはジュリエットが死んだと知らされる。 - 五日目:
ロミオはジュリエットを死を嘆き、ジュリエットの墓の前で自ら命を絶つ。その後目覚めたジュリエットも後を追う。
時系列で見ると、怒涛のように進むたった5日間の物語。
出会って次の日には結婚したかと思えば、
その次の日にはロミオが追放される、という目まぐるしい激動の展開です。
若い二人の主人公
『ロミオとジュリエット』の物語は、16世紀のイタリアの都市ヴェローナを舞台にしています。この時代のヨーロッパでは、特に貴族階級や裕福な家庭において、若年での結婚が一般的だったようですね。
16世紀のヨーロッパにおける結婚の平均年齢は、歴史的記録を見ると現代と比較してかなり若かったようですが、女性の場合、結婚年齢は14歳から16歳が一般的。
男性では18歳から21歳が普通だったのだとか。
(勿論地域や社会階層によって異なる場合もあるようです)
貴族や富裕層では家族間の同盟や財産の継承といった理由から、さらに若い年齢での結婚が行われることもあったようで、シェイクスピアが描いた『ロミオとジュリエット』でジュリエットが13歳であったことは、当時の社会的背景を考えると現代よりも普通に受け入れられやすい年齢だったようです。
物語では彼女の若さが特に強調され、純粋で情熱的な愛の象徴として描かれ、また、ロミオとジュリエットの若さは、彼らの衝動的かつ感情的な行動を通じて物語の悲劇的な展開を加速させる重要な要素となっているようです。
仮にシェークスピアが現代に生きていてこの物語を書くとしたら、ロミオもジュリエットももう少し高い年齢に設定したんだろうな、ということは想像できそうですね。
バルコニーは存在しなかった?!
「ロミオとジュリエット」で有名なシーンといったら「バルコニーのシーン」。
ご存じ、ジュリエットがバルコニーに立ち、ジュリエットが「おぉ、ロミオ、ロミオ。あなたはどうしてロミオなの」と独り言を言い、それを聞いたロミオがジュリエットを太陽に例え、彼女に熱く愛を語る場面。
でもこの作品が書かれた時代にはそもそもイタリアの家にバルコニーは一般的ではなかったようですし、実はシェイクスピアはバルコニーはどんなものかも知らなかった可能性があるのだとか。
参考)
The Balcony Scene in ‘Romeo and Juliet’ Is a Lie – The Atlantic
実際、シェイクスピアのオリジナルの「ロミオとジュリエット」には「バルコニー」という言葉は登場せず、この有名なシーンは「窓の下」のシーンとして書かれていたようですね。(窓に向かってジュリエットは話し、窓の下でロミオがそれを聞いていた)
バルコニーがロミオとジュリエットの物語に組み込まれたのは、シェイクスピアの作品が書かれた後のこと。
17世紀の劇作家トーマス・オトウェイという人の作品「The History and Fall of Caius Marius」(古代ローマの将軍の生涯が描かれたもの)が、この変更の一因とされてるようです。
※)ロミオとジュリエットは1595年から1596年の間に書かれ、「The History and Fall of Caius Marius」はその後のざっくり100年後となる1679年に書かれたようです。
この「The History ~」の中で、ロミオとジュリエットに相当する人物が登場し、そのジュリエットがバルコニーに立つシーンが描かれ、これが人気となった。(イメージしやすいし、舞台では凄く映えそうですしね)
だからその後の「ロミオとジュリエット」の上演でもバルコニーのシーンが取り入れられるようになった。
今では「ロミオとジュリエット」といったらこのバルコニーのシーンが超有名で、かつ物語の象徴的な一部として広く認識されるようになった、ということのようですね。
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