「眠れる森の美女」はグリム童話やディズニーアニメで有名ですね。
グリム童話では「茨姫」となりますが、原作はそれ以前になるようです。
今回はこの物語のあらすじ、原作からディズニーまでの流れと違い、王子やお姫様の名前の変遷などについてまとめてみました。
眠れる森の美女:あらすじを簡単に
お姫様の誕生
『眠れる森の美女』は、長い間子どもを望んでいた王と王妃によって生まれたお姫さまの物語。
待望のお姫さまが誕生し、そのお祝をする宴会では多くの妖精(魔法使い)も招待され、一人一人順番にお姫さまに贈り物や願いを授けます。
恐ろしい呪い
でも実は都合により招待されなかった妖精が一人いたんですね。(仲間外れにされたってことになりますね)
ディズニー映画では「マレフィセント」という名の悪い妖精になりますが、怒ったその妖精が宴会に現れ、願いの代わりに以下のような呪いを掛けます。
「お姫さまが15歳の時、紡ぎ車(糸を紡ぐための機会のことね)の針に「指を刺して死ぬ」」。
恐ろしい「死の呪い」。
これは大変!ということで、
最後にまだ願いを掛けてなかった妖精が、死ぬのではなく「姫は100年の深い眠りに落ちる」となんとか呪いを変え、お姫様は真の愛によってのみその眠りから覚める、とされました。
王子とお姫様の目覚め
兎に角大変な事には変わりなく、
王はお姫さまを守るために国中の紡ぎ車を燃やしますが、お姫さまが十五歳になると、塔の部屋で運悪く紡ぎ車を見つけ指を刺してしまいます。
呪いの通りとなりますが、
お姫様は深い眠りにつき、
城の中の全ての人々も眠りにつくことに。
城は茨(いばら)の森、バラの生け垣に囲まれ、外部の侵入者からお姫さまを守ります。
そして100年後。
眠れるお姫様は伝説として語り継がれ、
その伝説を聞いた王子が姫を探しに来ます。
王子は城に到着し、
ついに塔の部屋で眠るお姫さまを見つけるんですね。
ここで良く知る「グリム童話」では、
王子がキスで姫を目覚めさせる、という感動のシーン。
※)それ以前に書かれた「ペロー版」では、100年経過したから姫は目を覚ますとなってます。
そして王子とお姫さまは結婚し、
幸せな生活を送ることになりました。
めでたしめでたし...
というところですが、
グリム童話以前のバジーレ版、ペロー版では物語はもう少し続きます。
新たな試練と幸せの結末
グリム童話により年代の近い「ペロー版」では、話の続きはいかになるようです。
王子とお姫さま(王妃)の間には、
やがて二人の子どもが生まれます。
王子の母は実は人食い鬼。
王妃(お姫様)とその子どもたちを森の中の家に送り、料理人に命じて食べようとしてたんですね。
でも料理人たちが機転を利かせて子供やお姫様を護り、鬼である母親は怒り狂って自ら鍋に飛び込み死んでしまいます。
そして王子とお姫様、二人の子供に平和な日々が訪れます。
参照元:
Wikipedia – Sleeping Beauty (英語版),
Wikipedia – Sleeping Beauty – Simple English Wikipedia (シンプル英語版)
原作からディズニーまでの流れと違い
この『眠れる森の美女』の物語は、
長い年月の中でいろいろ変化してきたようです。
ここで、その原点からディズニー版までの流れや内容の違いのポイントをまとめてみました。
民話・伝承から
『眠れる森の美女』の物語は、
元々はヨーロッパの民話や伝承にあったようです。
口伝えで世代を超えて語り継がれてきたものにもなるようですが、初期のお話はその詳細や登場人物など異なる場合が多く、地域によって様々なバリエーションが存在したようですね。
バジーレの「Sun, Moon, and Talia」
伝承ではなく、文字として書かれた最初のものは、イタリアの詩人「ジャンバッティスタ・バジーレ」による「Sun, Moon, and Talia」。(1634年)
このバージョンでは、今知る内容よりも暗く、子供向けというより大人向けのお話になるようで、主人公は亜麻の花茎によって深い眠りに落ち、その後、王によって発見され、無意識の状態で双子を出産。
その子により主人公は目を覚ます、という内容のようですね。
ペローの「The Sleeping Beauty in the Wood」
バレージから50年ほどたった1697年。
フランスの作家「シャルル・ペロー」によって書かれた「The Sleeping Beauty in the Wood」は、より子ども向けに洗練された物語。
このバージョンでは、お姫様は呪いにより100年の眠りにつき、最終的に王子によって目覚める、と、良く知る内容に近くなってますね。
ただしお姫様は王子のキスではなく、
王子が姫のそばでひざまずくことで目覚めます。
グリム兄弟の「Little Briar Rose」
1812年にドイツの「グリム兄弟」による「Little Briar Rose」。
このバージョンではペローのバージョンと同様に、お姫様が深い眠りに落ちる、となりますが、このグリム童話の中で、今知る「王子のキスでお姫様が目覚める」というシーンが登場します。
ディズニーの『眠れる森の美女』
1959年に公開されたディズニーアニメ『眠れる森の美女』。
この映画では、それまでのバージョンを融合させたり、新たな要素を加えたものになってます。
またディズニー版では、悪い妖精(魔法使い)には「マレフィセント」という名前が付けられ、登場する妖精はこのマレフィセントを含めて合計で4人。
良い妖精が3人(フローラ、フォーナ、メリーウェザー)と悪い要請が一人でマレフィセント。
王子と姫、悪い妖精の名前の変遷
この物語の主要な登場人物と言えば、
お姫様と王子、そして悪者役の妖精(魔法使い)。
これら登場人物の名前が、何か一定してないな、という感じもあり、名前の変遷をちょっと調べてみました。
- 民話・伝承
- お姫様: 名前なし。「眠り姫」など
- 王子: 名前なし。「王子」など
- 悪い妖精: 名前なし。「悪い妖精」など
- バジーレの「Sun, Moon, and Talia」(1634年)
- お姫様: タリア(Talia)
- 王子: 名前なし。
- 悪い妖精: 名前なし。
- ペローの「The Sleeping Beauty in the Wood」(1697年)
- お姫様: 名前なし。
- 王子: 名前なし。
- 悪い妖精: 名前なし。
- グリム兄弟の「Little Briar Rose」(1812年)
- お姫様: 「ドルンレッシェン」や「ブライア・ローズ」
- 王子: 名前なし。
- 悪い妖精: 名前なし。
- ディズニーアニメ(1959年)
- お姫様: オーロラ (Aurora)
- 王子: フィリップ (Phillip)
- 悪い妖精: マレフィセント (Maleficent)
ちなみにグリム童話では、
お姫様は「ブライア・ローズ」、「ドルンレッシェン」と2つ名があるようですが、元々のドイツ語版、翻訳された後の英語版による違いのようですね。
元々のドイツ語版「ドルンレッシェン」(Dorn Röschen)では「小さな茨のバラ」という意味になるようで(Dorm:茨、Röschen:小さなバラ)、英語版にそのまま翻訳され「ブライア・ローズ」(Briar:茨、Rose:バラ)となったようです。
ディズニー映画で、お姫さまが「オーロラ」、王子が「フィリップ」、悪い妖精が「マレフィセント」と名付けられ、今ではこの名が一般的になるかもしれませんね。
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