【ブレーメンの音楽隊】本当は怖い話?!担当の楽器やなぜブレーメンだったのかも詳しく

「ブレーメンの音楽隊」は、動物たちが音楽隊としての成功を目指しブレーメンへと向かい、最後は平和を手に入れるグリム童話の物語。

童話によくあるように、本当は怖い話なのでは、と思う方も多いようですね。

今回はこの「ブレーメンの音楽隊」について、本当は怖い話なのか、また「音楽隊」なので動物たちの担当楽器や、そもそもなぜ「ブレーメン」なのかをまとめてみました。

ちょっと復習の意味で、物語のあらすじから順に見ていきましょう。

あらすじを簡単に

この物語は、年を取って役立たずとされた動物たちが主人公。彼らは、自分たちの運命を変えるために「ブレーメン」へ音楽隊を結成しに行くことを決めるんです。

まず物語は老いた「ロバ」から始まります。

ロバは主人に捨てられそうになり、でもそこで諦めずにブレーメンで音楽隊になる夢を持ちます。そして、旅の途中で出会った「犬」、「猫」、「鶏」も同じように捨てられそうになっていて、ロバに同行することに決めるんですね。

一緒にブレーメンへ向かう途中、
森の中で盗賊たちが住む家を見つけます。

この家を取り戻すために、動物たちは力を合わせることに。

ロバが窓に立ち、犬がロバの背に、猫が犬の上に、そして鶏が猫の頭に乗ります。そして一斉に大きな鳴き声を上げて盗賊たちを驚かせて逃げさせる。

みごと強盗たちを退散させ、
動物たちはその家に住むことができるようになります。

彼らはブレーメンへ行くことはなく、そこで幸せに暮らしましたとさ。

めでたし、めでたし。

このお話は、どんなに困難な状況でもやれることはあるし、仲間と力を合わせれば乗り越えられるというメッセージを教えてくれてるようですね。

登場する動物たちの勇気と友情が、心を温かくしてくれる物語になってます。

本当は怖いお話なの?

有名な物語の中には、原作では暗い描写や悲惨な結末に至る、というものが結構あります。

たとえば、グリム童話ではないですが「ピノキオ」。最初は、ピノキオが木に吊るされて死んでしまう、という、結構衝撃的な結末で終わりの予定だったりしますね。

参考)
ピノキオのあらすじを簡単に!結末は実は木に吊るされて終わりだった?!

グリム童話で言えば、例えば「シンデレラ」。

今知る「シンデレラ」の物語は、
王子がガラスの靴のサイズに合うシンデレラを見つけてハッピーエンド!

でも原作では、シンデレラの意地悪な姉たちが、足のサイズを靴にあわせるために足を切ってあわせようとしたとか、最後には鳥につつかれて失明したなど、かなりダークな内容が含まれるようです。

他にも「赤ずきん」。おばあさんも赤ずきんも共に狼に食べられてしまいますが、最後には通りかかった猟師に助けられる、という物語。でも原作(ペローによるもの)では、二人とも狼に食べられてしまっておしまい(おいおい)、みたいな感じになってますね。

ではこの「ブレーメンの音楽隊」はどうかというと、後に出てきますが、元になったお話は、ドイツの語り手(ドロテア・ヴィーマンというお方)からの昔話の伝承。

その昔話の内容は定かではないようですが、言ってみればグリム兄弟が創作した「ブレーメンの音楽隊」が「ブレーメンの音楽隊」としての最初の物語。

グリム兄弟のこの「ブレーメンの音楽隊」は今知る内容になっていて、特に「本当は怖いお話だった」という内容は含まれず、動物たちの希望と冒険、最後は平和を勝ち取る物語になってます。

ピノキオやシンデレラ、赤ずきんなど、実は怖いお話だった、ということを知っている場合、もしかしてこの「ブレーメンの音楽隊も怖いお話だったのでは?」と想像し、調べられてる可能性がありそうです。

仮にこの物語が怖いものと感じる要素があるとしたら、主人公の動物たちが、年老いて役に立たなくなり捨てられた身の上であり、そうした点が、怖いとか悲しいなどの印象につながるのかもしれません。

それぞれの楽器は何?

「ブレーメンの音楽隊」のお話で気になるポイントが2つありますが、その1つは、「音楽隊」とあるので、動物たちがどんな楽器を演奏するのか、というところ。

グリム童話では楽器は出てこない

実はこの物語では、タイトルに「音楽隊」とあるにもかかわらず、動物たちが具体的な楽器を演奏するシーンは描かれていないんです。

ロバ、犬、猫、鶏がブレーメンに行って音楽隊になることを夢見ているんですが、彼らが実際に楽器を手にする場面はありません。

音楽に関係するとすると、彼らの「声」。

まるで音楽のように素敵なハーモニーを奏でます。特に、盗賊たちを追い払うシーンでは、それぞれの鳴き声を合わせて大きな音を出し、まるで一つの大きな楽器のように響かせたりします。

この物語は、それぞれの声が楽器であり、動物たちの冒険や友情、困難に立ち向かう勇気などを伝えるもので、彼らは楽器を持たなくても、自分たちの声と心で素晴らしい「音楽」を奏でることができる、ということになるのかも。

その後の創作では楽器が登場

グリム童話を元にして作られたその後の絵本やアニメ、舞台劇などでは、物語を視覚的により魅力あるものとするため、動物たちが楽器を演奏するシーンが加えられることはあるようです。

たとえば「ロバがドラム」を叩いたり、「犬がラッパやギター」、「猫がバイオリン」、「鶏がフルートやピアノ」、といった感じです。

いくつか作品を紹介すると、
以下では、ロバがドラム、犬がラッパ、猫がサックス、鶏がギター、として描かれてますね。

引用元:Los 4 músicos de Bremen (1989)

また以下では、
ロバがドラムにウクレレ、犬がサックス、猫がハープ、鶏がピアノ。
(ピアノはちょっと弾きづらそうですよね ^-^;))

引用元:Bremen Town Musicians by Saturn Animation Studios

他にも以下では、
ロバがギター、犬がドラム、猫がバイオリン、鶏がラッパ。

引用元:Amazon.co.jp: The Bremen Town Musicians

色々見てみると、ロバはドラムやギター(ウクレレ?)などが多いようですね。

なぜブレーメンを目指したの?

気になる点のもう1つは、なぜ「ブレーメン」なのかというところ。

この物語の元となったのは、ドイツの語り手「ドロテア・ヴィーマン」(1755年-1815年)のお話とされているようです(お話の詳細は不明)。

ドロテア・ヴィーマン(引用元:ドロテア・ヴィーマンのWIKI

ヴィーマンとグリム兄弟は1813年に偶然知り合い、ヴィーマンは40以上の物語やバリエーションをグリム兄弟に語ったとされてます。

ヴィーマンの語る物語の多くはフランスのおとぎ話に基づいていたようで、つまりこの「ブレーメンの音楽隊」の原作となるのは、フランスの昔のおとぎ話、ということになりそうですね。

フランスのおとぎ話が元となるとすると「ブレーメン」はドイツの都市なので多分関係はなく、グリム兄弟がこの「ブレーメンの音楽隊」のお話を考える上で「ブレーメン」を設定した、ということになりそうです。

ブレーメンは、ドイツの北西部に位置する、ドイツの中でも歴史的に重要な都市の一つ。

中世には北ヨーロッパで形成された都市同盟(ハンザ同盟)で貿易で栄え、ドイツの中では特定の領主の支配を受けず市民が自治権を持つ都市「自由都市」として「自由と独立の象徴」としても有名なのだとか。

「ブレーメンの音楽隊」も、動物たちが主に見捨てられ、そこから復活を誓い旅に出て、最後は自由に暮らす家を手に入れ幸せになる物語。

その物語の象徴として、自由と独立の象徴となる「ブレーメン」が「この物語にあってるな!」ということで、動物たちはブレーメンを目指して旅に出た物語になった、ということが想像できそうですし、グリム兄弟がこの物語を出版した当時では、今の時代よりも余計に当時の人々にイメージがしやすいタイトルであり内容になってそうですね。

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