【因幡の白兎】あらすじを簡単に楽しく!何が言いたい物語?

ウサギがワニを騙して海を渡るお話し「因幡の白兎」。

日本の神話として今でも人気ですが、
今回はこのお話はどんなお話なのか、あらすじを少し詳しく見ていきましょう。

また、この物語は何が言いたいのか、そもそも舞台になる場所はどこか、ワニって日本にいたっけ?など、物語の不思議な疑問もあわせてまとめてみました!

【因幡の白兎】あらすじを簡単に!

昔々、賢い白ウサギがいました。

ウサギは「隠岐の島」(おきのしま)から「因幡の国」(いなばのくに)へどうしても行きたい。

海を渡る必要がありましたが、そこでウサギは考えた。

「海に住むワニさんたちに協力してもらおう」
「ちょっと騙しちゃえばいいかな」

そこでウサギはワニたちに言いました。

「ワニさん、ワニさん。ぼくとあなたたち、どちらの家族が多いか競争しようよ。」

「みんなで一列に並んで、この島からあちらの岸まで橋を作ってくれたら、ぼくが一人ずつ数えながら渡るからさ。」

そうか、そうかと、
ワニたちはウサギの言う通り、向こうの岸まで一列に並びます。

ウッシッシ、とばかり、
ウサギはワニの背をピョンピョンと飛び跳ねながら渡り始めました。

「ワニさんが1匹、ワニさんが2匹…」

ウサギはそう数えながら、ワニたちの背中を渡っていきます

でも、最後のワニに近づいたとき、
あまりにうまくワニたちをだましたことで嬉しくなりすぎて、

「ワニさんたち、僕にだまされたんだよ!」

なんて、ウサギさん、言っちゃうんですね。

その言葉を聞いたワニたち。これはもう激おこプンプンです。

「なんだとぉ?我らはだまされたのか!」

そう言いながら、ウサギさんを捕まえて、
なんとウサギの毛皮を剥ぎ取ってしまいました。

傷ついたウサギさん。
痛い思いをしているところに、
丁度「因幡の国」(いなばのくに)にお嫁さんを探しに訪れた神様たちに出会います。

神様の中には意地悪な神様もいて、

「かわいそうに。でも海水に入って、風に当たれば治るんだよ」

そうウサギさんに伝えます。

でもウサギさんが言われた通りにすると、
キズ口に塩が入り、さらに風が当たって全身がヒリヒリ超痛い。

ワニをだましたウサギさん。
でも今度はウサギさんが騙された。

「痛いよー、痛いよー」

神様の中に、全ての荷物を一人で運び
家来のように後ろをついてきた神様がいます。

その神様は優しい神様で、他の神々が通り過ぎた後、ウサギに何があったのか尋ねると、ウサギは「ワニをだましたこと、でもその後神様たちに意地悪されてしまったこと」を正直に話します。

その神様がそんなウサギをみて可哀想になり、

「ウサギよ。川の水で体を洗うんだ。」
「そのあとガマの花を集めてその上でゴロゴロと体を転がすんだよ」

そう優しく教えてくれるんです。

塩を洗い流して、ガマの花の花粉で傷口を風から守る、ということなのでしょう。

ウサギがその通りにすると、
ウサギの体から毛が生えて元通りになったんですね!

ウサギはその神様に「ありがとう、ありがとう」と大感謝。

「お姫様はきっとあなたと結婚するよ!」

とその神様に予言します。

その神様とは後の「大国主命」(おおくにぬしのみこと)。
日本を代表する神様です。

この時は他の神様の荷物運びをしているほど地位が低かったようですが、その後、お姫様は他の神様ではなく、大国主命を選ぶんですね。

きっとお姫さまも大国主命が優しい心を持っていたことに惹かれたのでしょう。

(実はウサギはお姫様と友達だったというお話もあるようで、ウサギからお姫様に、あの人が良い神様だから選んでね、なんて教えられてたのかも)

【因幡の白兎】何が言いたい物語?

この因幡の白兎の物語、
短いようでいろいろなポイントがありますね。

  • ウサギは賢いけどワニをだますことをした
  • ウサギはワニから報いを受ける
  • ウサギは更に神々から騙される
  • でもウサギは自分のやった行いとその結末を受け入れ、正直に話す
  • その結果、元に戻ることが出来る
  • 優しい神様(大国主命)は、他の神々の家来のような扱いを受けていた。でも優しい方。
  • 家来のような扱いを受けていても、最後はその優しさからか、他の神様を押しのけてお姫様と結ばれる

これらからすると、この物語には以下のような教訓が含まれているように見えます。

  • 人は騙しちゃいけないよ:
    いくら賢くても人をだますのはダメ。必ずその報いは受けるもの
  • 正直さの大切さ:
    悪い行いは正直に受け入れ白状すれば、また良い方向に向かうこともある
  • 思いやりの大切さ:
    つらいことを抱えている人には、やっぱり優しくしなくちゃね。
  • 不遇な環境でも優しい心を常に持つこと:
    家来という位置にいても、優しい心を持っていれば、いつか幸せが訪れる

この物語は、こうしたことを人々の心の中に語っているようにも見えますね。

【因幡の白兎】現在の場所はどこ?

この物語に登場する場所は、元々うさぎがいた「隠岐の島」と向かった先の「因幡の国」。

隠岐の島は、現在の島根県の隠岐諸島

大きく島前(小さな島々からなる島群)と島後(隠岐の島町だけからなる大きな島)で形成された諸島で、日本海に浮かび、
島根半島から北に約50kmほどに位置するようですね。

また因幡の国は、現在の鳥取県の東部に相当する場所

【因幡の白兎】神と出会った場所はどこ?

この因幡の白兎の物語では、
白ウサギは「隠岐の島」から陸へ渡りますが、ワニたちをだまして陸まで橋を作ってもらいます。

ワニが縦に1列に並んで橋を作った、
と言う感じですが、その場合、ワニたちも陸までの最短ルートを考えたかも。

とすると上の地図に見られるように、島根県の日本海側(島根半島)ではなく、鳥取県に向けて直線的に並んだ、なんて考えることもできそうですね。

そうなると
ワニたちが陸と結んだ地点は今の「鳥取県の大山町」(だいぜんちょう)あたりになるのかも。(地図上の赤丸地点)

大国主命は、出雲の国を治めていた神様ということから、

  • 物語に出て来る神々は島根県の出雲を出発し、
  • 山道を避けて海沿いを歩き因幡の国(鳥取県の東部)を目指していた、
  • その途中の鳥取県の大山町あたりで、苦しんでる白ウサギと出会った、

なんて想像もできそうです。

【因幡の白兎】因幡に向かった理由

この物語の中では、うさぎは「隠岐の島」(島根県)から「因幡の国」(鳥取県の東部)に渡ります。

元々白ウサギが島にいたのは良いとして、
そもそもなぜ因幡の国を目指したのかも、ちょっと気になりますね。

物語に出て来るように、
因幡の国にはお姫様がいます。お姫様の名は「八上姫」(八上比賣:やがみひめ)。

八上姫は豪族(土地の偉い人、権力者)の娘であり、またそれだけでなく美しい巫女さまでもあったようです。

神様たちから見ても「結婚したい!妻として迎えたい」と思うような特別な存在で、だから因幡の国はその当時かなり有名な場所だったと想像できそうですね。

そんな場所だったから島にいたウサギも「一度どんな場所なのか行ってみたいな」ということで、因幡の国を目指した、ということになるのでしょう。

【因幡の白兎】ワニは当時日本にいたの?

あとこの物語で気になるのが「ワニ」。

動物園では見ることのできるワニですが、
ワニって日本にいたっけ?しかも日本海に?なんて、ふと素朴な疑問として思っちゃいそう。

「昔話なんだから、別にワニが登場してもいいじゃん(笑)」という気もしますが、昔話にはいろいろその元となるものもあったりするので気になりますね。

この因幡の白兎の物語が書かれているのは「古事記」と呼ばれる日本の最古の書物。

神話を含む歴史書ですが、
今からおよそ1300年前、
西暦8世紀の初めに書かれたものとされてるようですね。

今では日本近海でワニはいないようですが、当時はいたのか?

実は日本でもワニの化石が見つかっていて、
その一つが、この物語の舞台の1つにもなる白兎のふるさと「隠岐の島」。

今の「隠岐の島町」になりますが、
実はこの隠岐の島町で「ワニの約2千万年前の化石」(東アジアでは最古)の一部を発見したと、というニュースが実際に報道されてます。

東アジア最古巨大ワニ化石、島根で発見 2000万年前 – 日本経済新聞(2013年)

この発見されたワニ、
全長は推定で7メートルもあったということですが、ただこれは2千万年も前のお話。古事記が書かれた時代とはかなり違う。

ワニの化石が発見されたことで、実は古事記に登場するワニも今知る爬虫類のワニのような生き物だったとする説もあれば、そうではなく「サメ」を意味する言葉だ、という根強い説もあります。

古事記の中ではワニは「和邇」と記述されますが(すぐ後に来る日本書紀のなかでは「鰐」)、それは爬虫類のワニではなく「サメ」という説。

これは因幡の白兎の物語の中で「ワニ」が海にいる生き物として描かれていることや、「ワニ」がウサギの毛皮を剥ぐほどの力を持っていることから、これはワニではなくサメでしょう、という説。

実際、物語に関連する出雲地方(鳥取県)や、他にも広島県など、サメ料理を「ワニ料理」と呼ぶこともあり、サメを指す古い言葉として「ワニ」が使われることもあるのだとか。

参考)
ワニ料理 – Wikipedia

今でも「サメ」のことを「ワニ」と表現することがあると聞くと、「ワニとはサメのことなのかな」なんて思っちゃいそうですよね。

まとめ

  • あらすじについて:
    因幡の白兎は、ウサギがワニを騙して因幡の国に行く物語
  • 物語の教訓:
    この物語では、騙すと報いを受けるよ、とか、正直であること、優しい気持ちを持つことが大切という教訓が含まれてそうです
  • 舞台となる現在の場所
    隠岐の島:島根県の隠岐諸島、
    因幡の国:鳥取県の東部に相当する場所
  • ウサギと神様が出会った場所:
    神様たちが出雲の国に行くルートも考えると、現在の鳥取県の大山町あたりとも考えられそう
  • ウサギが因幡に向かった理由:
    評判のお姫がいる因幡の国が、当時有名だったと考えられることから好奇心に駆られて。
  • ワニは当時いたのか
    古事記に書かれている「和邇」(わに)は、爬虫類のワニ説と、魚のサメ説があり、どちらなのかは確定していない。

因幡の白兎、隠岐の島からどこに上陸したのかも含めて調べてみましたが、隠岐の島って陸から50kmぐらいは普通に離れてます。

かりに登場するサメが「体長6m」で、縦に隙間なく並んだとすると、800匹以上は並んだことになりますね。(これはかなり壮観かも)

コメント

タイトルとURLをコピーしました